このページでは、Linuxのインストールの例として、比較的軽く操作が容易なXubuntuのインストール方法をご紹介し、oyainputの標準的なインストール方法をご紹介します。
古いPCでも動くXubuntuにoyainputをインストール
Linuxを使う目的として、メモリーが1GB程度しかなくてWindows 7も快適に使えなくなった古いPCを活用したいという方が多いと思います。
今回、2012年に発売されたAcer Aspire One D270に、Xubuntu、oyainputを入れましたので、手順を紹介します。この手順は、「親指シフト表記付きUSBライトタッチキーボード」を使う場合も同じです。
親指シフト向きのノートパソコンはあるのか?
なお、このAcer Aspire One D270が親指シフトのためにお薦めというわけではありません。ノートパソコンでは、ASUS ZenBook3、東芝の15.5インチの中古でNの左端くらいに変換キーの左端があってキーが固くないタイプのものあたりがいいのではないでしょうか。
大型のWindowsタブレットにELECOM TK-FBP018のBluetoothキーボード(Bluetoothの遅延が少し発生します)やFKB7628-801(Thumb Touch)や当社の有線キーボードをつないで使うのもいいかもしれません。
Aspire One D270
スペックは、液晶サイズ:10.1インチ CPU:Atom N2600/1.6GHz/2コア メモリ容量:1GB 初期OS:Windows 7 Starter 32bitです。
Windows 7が動くもののCPUがAtomなので、常駐ソフトウェアを少なくしても、けっこうもたつきます。
キーボードはNの下の中央よりも右側で「(Spaceと変換キーの)割れ」がありますが、この段のキーの縦の長さは長くなっていますし、キーボード全体の大きさが小さいので、意外と親指シフトしやすくなっています。
Xubuntu
Linuxには、Ubuntu、Red Hat、openSUSEなどのディストリビューション(分派)がたくさんあります。
その中のUbuntuをインストールしようとも考えましたが、Ubuntuを快適に使うには2GB以上のメモリーや速いCPUを必要とします。
そこで、軽量版のXubuntuをインストールすることにしました。Ubuntu系の中ではLubuntuの方が軽いようですが、その分インストールが難しくなるケースがあるようです。
Xubuntuは、ubuntuを(少ないメモリーでも快適に動くように)軽量化・高速化したもの(ubuntuのフレーバー)になります。
今回は、サポート期間が長いXubuntu 18.04 LTS 64bitをインストールしました。なお、Xubuntu 16.04 LTSの方が速く動作します。
インストールについて解説しているサイト
インストール用のUSBメモリーを作成
多くの場合、別の)PCでXubuntuのISOイメージ(1.5GB)をダウンロードしておきます。通常は、Mirror downloadsのJapanをクリックします。Free Download Managerという無料ツールだと途中で失敗しても自動的に復帰してくれるので楽にダウンロードすることができます。
ツールを使って起動可能なUSBメモリーを作ります。もちろん、時間はかかりますが、起動可能なDVDを作ってDVDドライブから起動する方法もあります。
今回は、既に別の目的でインストールされていたPowerISOにて、ツール|起動可能なUSBドライブの作成 を実行して、作成しました。なお、この場合、使用後に、他のツール(Windowsのエクスプローラなど)ではUSBメモリーをうまくフォーマットできないことがあります。したがって、使用後には、このPowerISOにて、ツール|Clean USB Drive で、フォーマットします。
Windowsとの共存
既にWindowsなどの他のOSがインストールされていて、それと共存させる場合は、難易度が格段に上がります。
初めての人は間違えてWindowsが入っているパーティション全体を消してしまったり、Windowsを起動できるようになるまであきらめてしまったりすることがあります。
初めての人は、Windowsを消してしまうことがあり得ることを覚悟して進みましょう。大事なデータが入っているのであればそのPCにインストールするのはやめて中古で別のPCを買った方がいいかもしれません。
Easus Partition Master Freeのようなパーティション操作ソフトで、パーティションが作られていない空き領域を作っておきます。そして、その構成を覚えておきましょう。
インストール(起動)
作成したUSBメモリーを挿して、PCを起動します。その際、Esc、F2、F1、Del、F8、F12などのキーを押して、HDDよりも先にUSBメモリーから起動するように指定します。
この画面になったときに、まずは「Xubuntuをインストール」をやってみましょう。途中で止まるような場合、F6を押して
acpi=off、noapicなどをオンにするなど試すことができますが、どのようにすればうまくいくかはそのPCに依存します。
「インストールせずにXubuntuを試してみる」でLive版を起動して、「デスクトップ」にできる「Xubuntuのインストール」アイコンからインストールを始めた方が楽だと思います。
画面を進めると上のような「どのようにしますか」画面が出てきます。
Linuxのインストール全般にいえることですが、他のOSが入っている場合、ここでは「それ以外(詳しい設定をする選択肢)」を選びましょう。
他の選択肢を選ぶと何も聞かれずにインストールが完了してしまい、他のOS(Windowsなど)が完全に消えていたということが発生することがあります。
パーティション作成画面の操作は少し難しいです。
ここ、ここ、ここ、ここ、ここなどを読んでおいた方がいいでしょう。メモリーが1GB以下の場合は、マウントポイントを/にするパーティションの他に8GB程度のスワップ領域も作っておいた方がいいと思います。
進めると、Xubuntuのインストールが完成します。指示に従ってUSBメモリーを抜いて再起動します。
grubの設定(Xubuntuのインストールの後)
他のOSと共存させていれば、grub(起動マネージャー)の設定が必要です。例えば、デフォルトでWindowsが起動するようにしたり、タイムアウトの秒数を10秒から3秒に変えたりすることです。
ここ、ここ、ここ、ここなどを読んでおくといいと思います。具体的には、以下をします。
sudo mousepad /etc/default/grub (設定を変更)
ここで、GRUB_DEFAULT=で既定のOSを設定することができます。
GRUB_TIMEOUT=でタイムアウト時間を設定することができます。
#GFXMODE=640x480 の#を消すと、最初のOS選択画面の文字を大きくすることができます。
sudo update-grub(/boot/grub/grub.cfgを更新するコマンドです)
LinuxとWindowsのデュアルブート環境で、時間が9時間ずれる問題
時間が9時間ずれる問題が発生するなら、こちらに記載のように対処する必要があります。
日本語化
fcitx-mozcを使えるようにします(Xubuntuの場合は既にインストールされているケースが多いです)。ibus-mozcを使う方法もありますが、fcitxの方がIME ONとIME OFFの設定がしやすいのでfcitxの方がいいと思います。
sudo apt-get -y install fcitx fcitx-mozc mozc-utils-gui
そして、再起動した後、「言語とサポート」でIMとしてfcitxを指定します。再起動しないと選択肢にfcitxが出てきません。
oyainputのインストール(通常)
やっと、oyainputのインストールに入ります。
oyainputの作者様が書かれた手順にしたがってインストールします。
※半角英字モードでも「:」キーで「後退」させたり、『』.,/なども入力できるようにする場合は、「oyainputをカスタマイズしてインストール」の手順を実行するといいと思います。
左上のメニューボタンをクリックします。
ターミナルを起動します。Ctrl+Alt+Tでも起動できます。
sudo apt-get install -y git gcc make cd mkdir work cd work git clone https://github.com/inwskatsube/oyainput.git cd oyainput make sudo make install
でインストールが完了します。
起動は、
oyainput
です。
自動起動
毎回起動のたびにコマンドを入力するのが面倒なので、自動起動の設定をします。
以下の内容のoya-xmodmap.shを作ります。
xterm -T "oyainput" -e oyainput & xdotool windowminimize $(xdotool search --sync --name "oyainput")
xdotoolコマンドを使えるようにするためにインストールします。
sudo apt -y install xdotool
コマンドラインで自動起動を設定する場合、
crontab -e
として、1のnanoを選びます。そして、ファイルの末尾に、
@reboot /home/[username]/oya-xmodmap.sh
の行を追加して、Ctrl+O, Ctrl+Xで終了します。
「:」をBackspaceとして使えたり/なども出力できるようにoyainputカスタマイズ版 にしたがってインストールすることをおすすめします。
動作は?
動作は、特にもたつきがなく、安定しています。Windows 7では軽いJapanistであってももたつきがありましたが、Xubuntu+oyainputではもたつきがありません。動画を再生させても安定しています。
2020/1/14までのWindows 7のサポート期間がすぎました。Windows 7をお使いの方でWindows 10への移行が難しい方はXubuntu、Lubuntu、MX Linux のような軽量Linuxに変えてみるという選択肢もあります。